心の栄養 No,7 2003年1月号
2003.01.20
心の栄養 No,7 2003年1月号 著者:村石孝枝 写真:オホーツクドットコム

心の栄養 No,7 2003年1月号


 私は群馬県生まれだ。

「ああ じゃあ こちらに旅行に来て ご主人と知り合ったの?」とよく聞かれる。

だいたい当たってるけど 主人も長野県出身という ところがよくある現地の青年+観光客の女性というパターンからは ちょっとズレている。

私達は この知床に住みはじめて15年になるが 冬の北海道は本当に暖かい(??)もちろん これは室内に限ってのことだが・・・

どの家に行っても室内は25°前後に保たれているし ストーブの排気もFF式で屋外に出しているので 空気もクリーンだ。その上 床暖房も入っているので まさに頭寒足熱で 快適そのものだ。が、年に一度 この快適な生活を崩さなくてはならない。それは 年末年始を群馬か長野で過ごすことが我が家の恒例の行事になっているからだ。

特に望郷心が あるわけでもないので取りやめにしても いいけど。高齢の両親が孫に会えるのを楽しみにしているのかと思うと それもできない。群馬はカラッ風とナントカ(?)が名物だが とにかく寒い!

私の実家が特別なわけでもなくて どこの家に行っても 背中を風が吹き抜けるような感じがして どうしようもないのだ。イヤ!家に問題があるのではなく 自分の体が ヌクヌクとした「北海道仕様」に変化してしまったのだ。

「郷に入っては郷に従う」 もう「寒い」なんて言わないゾと心に決めても その為に妙にイライラしてしまう自分を情けなく思ってしまうのだ。

心の栄養 No,7 2003年1月号 著者:村石孝枝 写真:オホーツクドットコム

近所の人には「北海道から来たんだから寒さには強いでしょう」なんて聞かれると返答に困る。

北海道の人は 実は暑がりで寒がりなのだ。気温28°を越せばもう暑い暑いを連発するし 20°以下では「寒くて何もできない」なんて平気で言う。

私も 知床に生活をして はじめての冬は本当に驚いた。こちらの友人達は セーターというものを 着ないし 持っていないというのだ。そういえば室内では真冬でも長袖のTシャツ1枚だし子供は半袖でも元気だ。

物を大切にしてきた 世代のおじいちゃん おばあちゃんでもお風呂上がりにランニング姿で ビールを飲んでいたりする。

私は最初 これが理解できずに 北海道の人は「暖房費のムダ使いをしている」と思っていた。しかし ひと冬過ごしてみて 考えは大きく揺らいだ。

知床は外気温は平均で-7°。寒い日だと-15°にもなり1時間も外へ出ていると すっかり冷えきってしまう。この気温の中を子供達は歩いて学校まで通っている。

「ただいまあ~」とドアを開けると そこには 楽園のような暖かさが待っていて 身も心も癒してくれる。楽園には ぶ厚いセーターなど似合わないし かろやかにお茶を飲む 空間が必要なのだ。

暖かさは 体だけじゃなくて 心の栄養でもあるのだ。

この室内と屋外の寒暖の絶妙なバランスこそ 雪に囲まれてここで暮らす人々の生活の知恵なのだとわかった。

そんなことを 思いながら 1月8日の夜 10日ぶりに我が家へ帰ってみると 連日の吹雪にも かかわらず家の玄関の雪が片づけられていた。

「いいなあ 友達は・・・」
「いいなあ 知床は・・・」

そんな おだやかな気分で 眠りにつき 翌朝沖をみるとはるか かなたに 白い大きな固まりが見える。
「やったあ!! 流氷初日だ」



著者:知床四季のエッセイ 村石孝枝(アトリエ夢民)
写真:オホーツクドットコム
1枚目:流氷山脈 小清水町浜小清水フレトイ展望台沖 3月

2004年
知床四季のフォトエッセイ Top
研修旅行 No,27 2004年12月号
森の掟 No,26 2004年11月号
フィナーレ No,25 2004年10月号
県民性 No,24 2004年9月号
真夏の夜の夢 No,23 2004年8月号
近況 No,22 2004年6月号
旅立ち No,21 2004年5月号
調和 No,20 2004年4月号
同窓会 No,19 2004年2月号
世界で一つだけの花 No,18 2004年1月号

2003年
師走 No,17 2003年12月号
早朝の港 No,16 2003年11月号
星風呂の家 No,15 2003年9月号
約束 No,14 2003年8月号
それぞれの思いNo,13 2003年7月号
達成感 No,12 2003年6月号
共存 No,11 2003年5月号
春の訪れ No,10 2003年4月号
冬のタンポポ No,9 2003年3月号
流氷ウオーク No,8 2003年2月号
心の栄養 No,7 2003年1月号

2002年
楽しむ No,6 2002年12月号
秋に想う No,5 2002年11月号
自然観察会INルシャ No,4 2002年10月号
輝いている No,3 2002年9月号
笑顔の秘密 No,2 2002年8月号
無農薬 No,1 2002年7月号

- CafeLog -