冬のタンポポ No,9 2003年3月号
2003.03.21

冬のタンポポ No,9 2003年3月号
昨年の秋の終わりに 庭に何げなく生えているタンポポの一株を鉢植えにして部屋に置いてみた。
きっと家の中は暖かいので春になる前に花を咲かせて 家族中を「しあわせ気分」にしてくれるだろうと 思ったからだ。
しばらくは そのままの枯れ葉色だったが お正月を過ぎる頃から急に若葉が増えはじめ 期待どうり 2月下旬のダイヤモンドダストの舞う寒い朝に あの愛らしい黄色い花を つけはじめた。
「花の中で何が好き?」と聞かれたら迷わず タンポポと答える。だいたい黄色い花は 好きなのだが 黄色い花にもいろいろある。
菜の花のヘルシーな黄色。ヒマワリの陽気な黄色。水仙の繊細な感じの黄色も いいなあと思う。
でもタンポポの心に陽をともすような 暖かな黄色は もう無条件に一番好きだ。
我が家から見える 一面のオホーツクの流氷と次々に咲く タンポポの花。真冬の知床と 小さな黄色い春。確かに思っていた通り 絵になっていてステキなのだけれど。何かが違う!
タンポポの愛らしさ かわいらしさは 何も変わっていないのにおかれている場面が違うだけで こんなにも 印象は違って見えるのだろうか。
タンポポの花を美しく 元気に見せていたのは やはり 流氷の海やダイヤモンドダストではなくて あのおだやかな 春の光と 風なのかもしれない。それを確信したのは タンポポが綿毛になった時だ。
だって タンポポの綿毛を運ぶのは大地と風が ここにはありません。
著者:知床四季のエッセイ 村石孝枝(アトリエ夢民)
写真:オホーツクドットコム
1枚目:流氷 ウトロ1月
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